辻本好子のうちでのこづち

No.086

(会報誌 2002年4月15日号 No.140 掲載)

NPO法人設立
これからも行政や企業にできない活動を努力します!

 2002年4月1日、「NPO法人ささえあい医療人権センターCOML」が誕生しました。
 もちろん、これまでの活動に何の変化もありません。けれども12年目以降の活動を支える仕組みや体制は、NPO法人化にあたって大きく変わり、これまで以上に力強く、いっそうの透明化を図った基盤整備がなされました。
 まずは、たいへん立派な「定款」ができたこと。すでにホームページにも掲載していますので、ぜひお目通しください。そして、COMLスタッフの「就業規則」もでき、活動全体をがっちりと支える土合が完成しました。昨春から始まったNPO法人取得準備の過程で、これでもか、これでもかと吟味・確認する作業が繰り返されました。これらはすべて、4人の理事のご尽力のたまものです。
 なお、NPO法人の「設立趣意書」を掲載させていただきますので、どうぞお目通しください。

 先日たまたま、日本NPOセンターが主催する連続講座で、これからNPOを立ちあげようとする方々にCOMLの活動内容や資金調達について話をしました。会費と自主事業収入が財政基盤になっている「もっとも安定型」であるという高い評価があってのお招きでした。正直、とても驚いたことと、これもひとえに正会員、賛助会員、特別会員の皆さまのご支援のお陰と改めて嬉しく思いました。
 最近、4月からNPO法人になることを話すと、ときどき「おめでとうございます」といわれ、どう言葉を返すべきか戸惑うことがあります。NPO法人に対する社会の認識がどういうものであるのか、私にはあまりよくわかっていません。たしかに「形」は整いましたが、それで活動の「格」があがったわけでもないのになぁと思うだけに、祝辞をいただくと、ついつい恐縮してしまいます。
 NPOは非営利活動ですが、糊口を潤す分は自分たちでも稼がなければなりません。しかし、行政や自治体あるいは企業では「できないこと」を、思いを共有する仲間たちともに楽しみながら努力する——と、私はそう解釈しています。患者を取り巻く医療状況がますます厳しくなるいまこそ、ますます必要とされる活動だと思います。私たちスタッフも、これまで以上に忙しく慟かせていただきたいと願っています。よろしくご支援、ご協力くださいますように!!
 さいごに“ひとりごと”ですが——。
 これまで、立場や役割を求められる場面で、しぶしぶながら「代表」を名乗ってまいりましたが、これからは「理事長」という肩書きになるのだそうです。漠然とした私のイメージでいえば、理事長はまず、そこそこの年配であること。そして酸いも甘いも知り尽くした大人物。状況判断が素早く、少々の天変地異にもみだりに驚いたりしない堂々たる人物——いってみれば世慣れた熟年者といったところ。それだけに、どうにも違和感がぬぐいきれず、なんとかならないものかといまだに悩んでおります。

設立趣旨書

 ささえあい医療人権センターCOML(以下COMLとする)は、1990年9月より市民グループとして活動してきました。11年間変わらず貫いてきた目的は、医療を消費者の視点でとらえ、患者の自立と主体的な医療参加を目指すことです。そのため、患者一人ひとりが「いのちの主人公」「からだの責任者」としての自覚を持つように、その趣旨を広く患者・市民、医療現場にも「賢い患者になりましょう」を合言葉として呼びかけてきました。また、患者と医療者のよりよいコミュニケーションを構築するため、患者と医療者の対話の場を設け、互いに気づき合い、歩み寄る関係づくりに努力してきました。
 それらの目的を実現するために、会報誌「COML」の発行、電話や手紙等による医療に関する相談の受付、さまざまなセミナー・フォーラム等の開催、医療者の教育現場への参画としてSP(模擬患者)の派遣、患者の視点で病院改善のための意見を届ける病院探検隊等、数々の活動をおこなってきています。
 電話相談の件数は毎年増加の一途を辿り、最近では月平均300〜400件、この11年の相談総数は2万件を超えています。SPの派遣や病院探検隊の派遣要請も日増しに増えてきました。加えて、厚生労働省や文部科学省、東京や横浜をはじめとする地方自治体の検討部会や外部評価委員など、患者の声を行政施策に取り入れるために、COMLの意見を求めたいという要請や就任依頼も多数届いています。
 このような社会的責任と要請を考えるとき、私たちはさらに広く社会にCOMLの目的を広め、医療における改善のための具体的な提案をおこない、開かれたよりよい医療の実現に寄与していきたいと考えました。そのためには、任意団体である市民グループとして個人の情熱と多くの個人的支援に支えられた活動に終わるのではなく、団体が法人格を持って目的と事業を継続し、社会的信用を得て活動することが必要です。
 ここに特定非営利活動法人ささえあい医療人権センターCOMLを設立し、これまでの事業内容をさらに充実させつつ、意義ある事業の展開をより広くはかり、目的を達成すべく努力いたします。